紅龍 ―2―


2人が何やら会話を始めたけど聞こえてはこなかった。







「蘭―…ごめん。」






「ううん。いいよ。ありがとう―…少し休んでいて。」









「蘭―…。」






「ん?」









「俺の気持ち伝わったか?」









「……―大丈夫だよ。だから休んで…て?」






「あぁ。」











ただ。









ただ俺は蘭のほうが智さんの事を理解できていると2人を見て思った。







「龍。」










蘭が智さんを淳さんに頼んで俺の目の前に来た。












「…………な、何だよ?」







まだ頬に残る涙を拭って素っ気なく言う。










「龍の強さ。」






蘭は独り言のように言った。









それの意味が分からなくて「は?」と聞き返すと、









「龍の強さは智の強さに似てる。



………仲間を、仲間を守る強さ。」









蘭は力強く言った。









“仲間を守る強さ”










俺はふと昔蘭に言われた言葉を思い出した。




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