紅龍 ―2―
「龍は強いよ。だから智の影になっちゃ駄目だよ。
今の青虎は智の守るもんじゃない。龍が守るもんだから。
龍さ、ずっと自分が青虎の総長でいいのか悩んでたんでしょ?
…龍でいいんだよ。
智は紛れもなく龍を選んだ。
青虎の皆だってそう。
龍のために戦ってくれようとしている。
龍。
龍は青虎の8代目総長だよ。」
何で蘭の言葉はこんなにも俺の心を突くのだろう。
「これが智の言いたかったこと。」
そう笑顔で蘭が言うから涙が出る。
俺ってこんなにも涙もろかったっけ?
何だか笑えた。
「涙が乾いたらその笑顔で智に気持ち伝えな。」
そう言って蘭はどこかに言った。
俺の今の気持ちを。
青空の下、気持ちのいい風が涙を乾かした―…