紅龍 ―2―
蘭side





「もう落ち着いた?」






ベットで体を起こして雑誌を読んでいた智に話しかける。


智と私以外誰も居ない。







「あぁ。」










智は雑誌を閉じて私を見た。











「龍。これからきっと総長として青虎を守れるよ。」








そう言って微笑む。










「あぁ。龍には悪い事をしたな―…あいつは何もかもを背負い込む性格だって俺が一番知ってたのに。もう少し早く話をすれば良かった。」










頭を掻きながら苦笑いする智。






私も同じように苦笑いをする。







「そんな事言ってもしょうがないよ。ついこの間までは病室に居たんだから。」






「はは。本当にあそこは暇だったな―…。」










何だか空気が重くなっている。








「…………―それよりこれ。」










私は話題を変えるように持ってきたものを智に渡した。



今しかないと思って。












「……―本当にいいのか?」









智の眉間に皺が寄る。










「念には念でしょ?」










私は怪しく笑った。









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