紅龍 ―2―
「お前忘れた訳じゃないだろ?今日は―…」
「ん。それなら忘れた訳じゃないよ。大丈夫だから。今日はあの人が来てる。」
あぁ。それで隼人は心配してたのか。
今日はあの日―…
忘れるはずのない日だよ。
だからきっと兄貴達も来てる。
そしてあの人も―…
やっぱり隼人だ。
常に周りの事に敏感で。
「大丈夫だから。」
もう一度そう言えば隼人は何も言わず、目を瞑る。
そんな隼人を見て
「ありがとう。」
聞こえないぐらい小さな声で言った。