紅龍 ―2―
「着きましたよ。」
何分かして車が家の前で止まった。
運転手さんが開けてくれたドアから出ていく。
「ん―…。」
私は大きく体を伸ばした。
結構な時間車に乗ると疲れる―…。
「おかえりなさいませ蘭様。あの御方が皆様と中庭に来てほしいそうです。お父様やお兄様も居ます。」
まぁ、疲れるのはこれからか。
何処からか現れた黒ずくめの執事の言葉に力を無くす。
私は「分かった。」とだけ言うと皆を連れて執事に続いた。
あの御方が来ている。
まぁ、やっぱりかって感じだけど本心居ないでほしかった。
だってきっとあの話だし。
これに限っては親父も優しくない。
私は大きなため息をついた。