紅龍 ―2―



「待てやぁ!!!!」




「龍ごときに捕まるか!!!」



「ごときにって何だよ!!!ごときにって!!!」





「そのままの意味だよ。」






龍と叫びながら私は敷地内を全速力で走る。





その間、執事やメイドさんとすれ違う度に笑われたけど嫌な気にはならない。





だって楽しい。





「隼人助けて〜龍がぁ。」




「お前なに人に助け求めてんだよ!!!」




「まぁ、蘭頑張って。」




「なっ。」





「はっ。しかも捨てられてんの―!!!」







こうやって馬鹿やってる時間が一番楽しい。




だって何もかも忘れられる。




例え明日大変な事が待っていても今、私は笑えてる。




「蘭頑張れ―!!」




「蘭捕まるなぁ―」




「俺が助けようかぁ?」




「龍、転けろ―!!!!」




「何で俺が転けなきゃなんねーんだ!!!」






そして皆も笑ってる。





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