紅龍 ―2―
俺はお前等の実力が知りたいだけ。
“上の者”として。
「お前等が銃を預けたクラマチさんはな俺の仲間。“天才”が作ったもんだ。」
「作った―…?」
そう。奴が作ったもん。
「奴は幾つもの顔と名を持っ。みんな―…俺以外みんな奴の嘘しかしらない。お前の知る奴も嘘だ。今はもう奴は違う顔と名を持っている。」
「情報屋。」
「そっ。俺のな。」
「………―ふっ。」
「………―どうした。」
俺は国分の様子がおかしい事に気付く。
なんて言うか、さっきまでの焦りがない。
「もういい。」
「はっ?」
………―なんだこいつ。
「俺等はまんまと天才にやられた訳だ。…―お前は誰だか知らねぇが、まぁ銃がないならまた調達するまで。ただそれだけの事だ。でも時間がかかる。姫さんには夜7時にくると伝えてくれ。俺は急ぐ、じゃあな。」
それだけ伝えて国分は携帯を切った。
……―本当に何なんだあいつ。
急に冷静になりやがった。
こいつは厄介だ。
蘭。
ヤバイかもしれない。
「くそっ。」
俺は自分の携帯を開いて“元”クラマチさんに連絡した。