紅龍 ―2―
そして携帯をポケットに戻して部屋に入る。
「蘭。携帯ありがと。」
俺は特攻隊を着た蘭に携帯を返した。
「あぁ、うん。ありがと……―恭平。なんかあった?」
俺から携帯を受け取った蘭が顔を覗かせる。
「恭平、何があった?」
そしてもう一度俺に問い掛ける。
何がってもうなにかがあった前提じゃん。
「…―別に?」
でも別に何もない。
普通の俺だ。
普通にして、普通に蘭に伝える。
「別にって恭平あんた「それより蘭。国分―…闇夢の奴ら夜7時に来るって言ってた。」
「…―えっ?国分が?」
「うん。」
でも何となく話を逸らしたい。
なにか引っ掛かる所があるから。
今日の俺は変だ。
いつもならこんな感情隠せるのに。
俺はこれ以上蘭に感付かれたくないために俯いた。
でも、こういう時の蘭は怖い。