紅龍 ―2―
蘭side



「じゃあ、行ってくね。」




「あぁ。」




私と隼人は倉庫に行こうとしていた。


もう、時間になったから。




「本当に大丈夫?」




でも、やっぱり様子のおかしい恭平をこのまま残していけないと感じる。



戻らない恭平の顔を覗く。




そんな泣きそうな顔して。




でもその顔も今じゃ私達にしか見せてくれない。





「大丈夫だし。」





そしてその無理して作った笑顔も。





「大丈夫じゃないなら素直になっていいよ?」





私はそっと恭平を抱き締めた。





後ろでは時計を見ながらため息をつく隼人がいた。




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