紅龍 ―2―
「声に出してよ。恭平は私には嘘つくの苦手でしょ?」
そして柔らかく笑う。
恭平。声に出さないと分からないよ。
苦しいなら苦しいと言って。
淋しいなら淋しいと言って。
もしもの事が恐いなら―…
言って。
「恭平。」
名前を呼べば恭平はその顔を上げる。
「…―本当は大丈夫なんかじゃない。俺も蘭の為に喧嘩したい。倉庫に行きたい。」
「うん。」
話しだした恭平をじっとただ見つめる。
「でもそんなの間違ってるって知ってる。そんなの蘭は望んでないって知ってる。」
「うん。」