紅龍 ―2―
「恭平は立場を忘れないで。」
「あぁ。」
頷いた恭平を見て私は足を一歩前にだした。
大丈夫。
恭平はちゃんとやる。
私も、ちゃんとやる。
「じゃあ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
さっきした会話をまたする。
大丈夫と呪文ように心に刻みながら。
私は恭平をせに隼人と車に乗り込んだ。
「…―隼人。兄貴に連絡入れて。」
車に乗って倉庫に向かう。
時間はギリギリだろうか。
だからこの車の中での移動時間も無駄に私はしない。
気持ちを切り替えないと。
私は隼人を横目に瞳を数秒間閉じた。