紅龍 ―2―



「皆―…ごめんね。」




そんな隼人と私を見つめた目を放さない皆を見て口を開く。




こんな言葉なんかじゃ足りないと思うけど。




本当に申し訳ない。




この喧嘩。




皆には表向き、なんの利益もないに。




それなのに、




それなのに―…。



ここに来てくれた。




「それと、覚悟決めてこの場に来てくれてありがとう。」




感謝してる。そう言って私は皆に頭を下げた。





その拍子に涙が出そうになったけど歯を食い縛る。





泣くのは今じゃない。




そう言い聞かせて。





「頭―…上げてください。」



結真の声が聞こえて頭を下げたまま目だけを動かす。



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