紅龍 ―2―
「いや―…やっぱり適わないな。」
隼人はまたこれ意味の分からない言葉を口に出して
「ごめん。蘭。携帯貸して?」
私の携帯を持ってどこかに行ってしまった。
「何なのよ―…。」
何も分からない私はただ分からない事が苛立ちに変わるだけだった。
近くに置いてあった缶を力に任せて蹴ってみる。
何となく缶が蹴ってと言っているようだったから。
まぁ、実際はただ単に蹴りたかっただけかもしんないけど。
音を立てて飛んでいく缶。
ヤバっ。
このままいったら誰かにぶつかるかも。
そう思った矢先、缶の行く先に人が居ることに気付く。