紅龍 ―2―
「ラン。」
誰かに名を呼ばれて目を開く。
目を開いても目の前には誰も居ない。
キョロキョロと首を動かす。
声の主は後ろに立って居た。
「龍。」
「隼人が昼は皆で食べようってさ。」
「…―そう。」
短い会話をして龍は口を閉じた。
なんだ。
龍はただ私にこんな事知られるために話し掛けたの?
そんなの昼になれば分かることなのに。
それにわざわざ言わなくても隼人が言うのに。
でも、龍の様子からしてまだ言いたい事があるらしい。
「どうしたの?」
そう聞けば龍は私をじっと見つめた。