紅龍 ―2―
黒桜会
約束
誰も周りに居ないことを確認してゆっくり立ち上がった。
別に痛くもないお腹を触る。
すると手に赤茶の血に似たものが着いた。
そう、私は撃たれてない。
撃たれた振りをしただけ。
私を撃った振りをしたのはそう―…
「もう―…隼人君から逃げるの大変だったよ。」
かつかつと音を立てて私のもとにくる京花だ。
「ごめんね、京花。ありがとう。」
はぁと深くため息をつく京花に私は苦笑いをした。
まぁ、あの隼人から逃げるんだ。
凄く大変だったんだろう。
隼人の愚痴を言う京花を私はただ見つめた。