紅龍 ―2―
すると急に京花が私の顔を見る。
京花のその行動があまりにも急で私はどうしたの?と口に出せない。
京花はそんな私をじっと見つめながら「時間がなかったんだった。」そう口にした。
京花の焦りとは逆に私は胸を撫で下ろした。
なんだそんなことだと。
でも京花にとっては一刻を争うものらしく、早くと手を差し伸べられた。
でも私は少しその手を掴むのを迷ってしまった。
私は知っている。
この手をとった先の私を。
私は知っている。
この手をとらないといけない事を。
でも、いやだから、私は京花の手を強く握った。