紅龍 ―2―



それから私は急ぐ京花に引っ張られながら車に乗り込んだ。




その車の運転席には恭平が居て少し驚いた。




そんな私を見た恭平は




「俺は蘭が家を出て直ぐ桜さんから電話が来て知った。」




と言った。




その顔はもう覚悟を決めた顔で、あぁまだ迷っているのは自分だけだと思った。




恭平の運転で車が動きだす。




向かうのはきっと隠れ家―…黒桜会の邸だ。




車の中で会話はなくて私は外を見つめていた。



その景色はどんどん懐かしいものに変わる。




私はただその景色を頭に焼き付けていた。




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