紅龍 ―2―
そのため、顔を上げて真っ直ぐ見つめれば当然のように母さんと目があった。
「…―蘭。」
「…―っ、はい。」
母さんに名前を呼ばれただけで体が跳ねる。
低く、透き通った声。
本当の母さんはこんな人なんだと思った。
いつもは親父ラブなお茶目な母さん。
でも、目の前に居る母さんはその目で見られるだけで人を震えさせる“桜鬼 オウキ”と言われた伝説の人。
こっちが本物の母さん。
これが黒桜会の初代。
黒瀬 桜。
鬼の血をひいていると言われた人―…