紅龍 ―2―


蘭の目には何も映らない。



目の前に居る俺も。




光も。




自分の姿さえ。




蘭の目に映るもの。




それは今、闇でしかない。



蘭の髪は真っ黒。




長さは肩に付かないほど短くなった。




何があったかなんて見ただけで分かる。




きっと紅龍を、忘れようとしたかったんだろう。




でも蘭。




お前は気付いてないかもしれないがな?




今のお前、殻に籠もっただけじゃねえか。




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