紅龍 ―2―



…―自分でも分かってる。




どんどん自分が闇に崩れて行ってる事ぐらい。




笑わなくなったのは笑える事がなくなったから。




目が闇に満ちてきたのは目の前に闇しかないから。




何ていっつも夜、返り血を浴びた自分に向かって言い聞かせてきたけど―…




今ではそんな事言ってられない。




鏡に映る私。




もう別人だ。




あの頃の、紅花だった私はもうどこにも居ないのだ。



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