紅龍 ―2―
兄貴の好きなバンドの曲を流しながら震えるケータイ。
どうやらメールではなく、電話らしい。
兄貴に電話―…珍しい。
私は兄貴が来ないのを見計らってケータイに手を伸ばした。
「ふんふふん〜♪」
鼻歌なんてしながらケータイを開く。
すると、そこには非通知の文字。
「怪しい―…!!」
手のなかで震えるケータイを見ながら、私は薄く笑った。
だってさ?
非通知なんてでたら、誰なのか知りたくなんない?
怪しいしさ?
もしかしたら兄貴のストーカーかもしんないし?
あぁ、もう♪!!
私は通話ボタンをゆっくりと押した。