紅龍 ―2―
「あっ?えーと『惇!!嫌ぁ―…早く来てよぉ」
電話の向こうではパニクル女の人。
全く私が惇でないことに気付いてない。
『今、追われてるの!!何だっけ―…椿なんとかの族の奴ら!!』
椿なんとかの族―…?
喋り続ける女の人の口から椿・族と出てき、嫌な予感がする。
「おい、今どこにいんの。」
声を低くして兄貴の声に似せた。
少し兄貴より高い声だが、気付かないだろう。
私は女の人の答えを待つ。
『…―あんた誰よ。』
いや―…はっ?