紅龍 ―2―
『あんた惇じゃないよね?』
何も言わない私にもう一度、冷静に女の人が聞いてきた。
いや、だから惇じゃないし―…?
「私は兄貴―…惇の妹です。」
そうです、私は妹です。
兄貴でも、兄貴の彼女でもありません。
『えっ?妹―…って蘭ちゃん!?』
大声で私の名前を叫んだ女の人。
…―耳が何か変。
てか、何この人。
「何で私の名前知ってるんです?」
声真似と言い、私の名前と言い、何かおかしい。
何で知っている。
「貴方は誰ですか?」
私は真剣にマンガとかで良く聞く台詞を吐いた。