紅龍 ―2―
そして、今日は更に酷かった。
――――――………
時間は入学式が終わって放課後。
理事長室から出てきた時だ。
「蘭が―…黒桜会だと?」
龍の声が廊下に響いた。
「そんな事があり得る訳ねぇよ!!!」
それ以上がないかって思うぐらいの声で叫ぶ龍。
「嘘だろ―…?」
そんな龍に続いて愁真が言葉を落とした。
そんな二人を見つめながら、この時俺は口を開くことすら出来なかった。
あの女が蘭―…?
だって―…
髪だって黒だったし、それに何より短かったじゃん。
目だって蘭はあんな目をしないよ。
理事長室に居た女の姿を浮かべながらそんな事しか考えられなかった。