紅龍 ―2―
―晃人×惇―
「お前は何処見てんだ!!!」
「――――……うわっ。」
先生口調で晃人に殴り掛かる惇。
それをすれすれで交わした晃人。
何処見てんだ
晃人の見つめる先。
そこには龍と智の姿があった。
「龍が心配か?」
惇も龍たちに目線をやる。
「いや、俺は龍を信じている。………ただ不思議なだけです。」
不思議。
確かに晃人はそんな顔をしていた。
「智さんが―…ここに来た事が不思議何です。あの智さんが…。」
晃人は一瞬顔を歪めた。
「不思議か―…まぁ奴は蘭に弱いからな。」
惇は目を細めた。
「ランちゃんですか?」
晃人の目が惇を捕らえる。
「あぁ。蘭は凄いよ。」
それに従うように惇も晃人を見た。
「あの子は一体―…。」
そう言った晃人の顔には悲しみが浮かんでいた。
「……なら、俺を倒したら教えてあげるよ?」
そんな晃人に惇は笑みを溢しながら晃人に蹴りを入れた。