紅龍 ―2―



「……―智さん。すみません。用事が出来たんで今日は抜けます………。」





俺は笑顔で言った。






自分でも十分と言える笑顔で。






「用事?何だ、彼女か?」







何も知らない智さんは俺を冷やかす。









俺は





「そう…ですね。」







無理して笑顔を作った。








智さんは何か言いたげだったけど俺は背を向けてあの人の元に向かった。







本当は行きたくないと甘える自分をそこに残して―…







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