紅龍 ―2―
「……り、ゅう。」
男の姿を見つめていた俺に智さんの声が届いた。
「智さん。余り喋らないほうがいいです。」
智さんに顔を向けると智さんは笑っていた。
俺は智さんを見つめた。
身体中から血が出ている気がするが、実際撃たれたのは腕と足、そして肩。
そんなに撃たれて何で笑っている?
智さんが撃たれたのは―…
俺のせいなのに?
何で俺に笑いかける―…
俺は下唇を噛んだ。
じゃないと泣いてしまう。
泣きたいのは智さんのほうだ。
俺の親父のせいで巻き込まれて―…
「り、ゅう。今から、は、なす事…をちゃ、んと………聞いて、ろ。」
智さんの消えそうな声で俺は現実に戻された。
でも次の智さんの一言でまた俺は固まった。