月光夜





「手のかかるやつだ。先が思いやれる…」



「でも、どうしてそんな姿に?」



「お前が、話しかけてきたんだろうが」



「何て話しかけたっけ?」



「名前は、何だと聞いてきただろうが。あと、話すかどうかも」



「じゃ、名前教えてくれるの?」



顔をきらきらさせながら、あたしは聞いた。
もし、教えてくれるのであれば、こんな嬉しいことはない。



「それは、無理だな」










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