月光夜




「持ってきました。」


「ありがとう。ルーン」


「いいえ。仕事ですから」


ルーンさんが持ってきたのは、すごくぶ厚いくてでかくて少しホコリかぶっていた本だった。


アッシュがそれを持ちながら席をたち、あたしの横に来て座った。


「これだ。見覚えはないか??」


「……。」


ジッとその本を見つめる。

そして、あたしは無意識にその本を持ち腕の中に抱いた。


懐かしい…。


そんな感じがした。


「なぜその本を抱く??」


「分かんない。なんか何となくこうしたかった。懐かしい感じがするの…」


「そうか。」


目をつぶって、その本をしばらく抱いていたらふと涙が頬に流れてきた。






< 74 / 233 >

この作品をシェア

pagetop