月光夜




鏡の前で化粧をする。


その時だけ、一国の王女としてではなく、女としていられる時。


髪の毛も結い直す。


けれど、こんなことしたって無意味なぐらい分かってる…。


それでも、可愛らしく見られたい。


あのお方に…。


あのお方の瞳の中に私だけを写し出したい。


そんな独占欲を心の中に思うが、決してそんなことは表にはださない。


決して出してわいけない…。


それは、禁断のことだから…。








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