素直の方が好きですか?


「納得いかねぇってんだよ」

「じゃあ納得いく説明ってどんなのよ」

こんな言い争いがしたいんじゃない、
本当は――――……。

「もう俺のこと…好きじゃねぇの?」

あたしはこの言葉に残酷な嘘をついた。

心臓の傷み、もう……こんなの気にしてられないよ。
だって、あたしきっとこれから想に嘘ばっかりつく気がするんだ。

「最初から…好きなんかじゃ……なかった」

だから、想はこんな可愛いげのない女じゃなくて
もっと、素直で可愛い子と付き合いなよ。

想はモテるからきっとすぐ新しい彼女が出来るよね…。

こんなこと考えるなんて……。

「……わかった…悪かったな」

辛そうな、無理に作った笑顔。

つくりきれてないよ、想。

想はそれ以上は何も言わず、黙って教室から出ていった。

一部始終見ていたクラスメート達の視線は全てあたしに注がれていた。

「朝倉さん…今の発言まじ?」

しんとしていたこの空気に一人の女の声が響いた。

「……っ」

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