素直の方が好きですか?


「俺の知ってる朝倉 智葉はそんなバカなやつじゃない。
しかも究極に嘘つきだ。自分にな」

見透かされてる。
無理…してるなとは感じてた…。
けど……

「……うん」

「な?」

あ、やだ―…。
涙が…

そう思った瞬間あたしは翔ちゃんに抱き締められた。

「うえっ!?しょ、翔ちゃん!?」

「うえって……」

わっ翔ちゃんクスクス笑ってる…。

「酷い」

「だって智葉…はは」

「もう―…」

安心する。
やっぱり翔ちゃん大人になっちゃったんだ。
改めて実感した。

抱き締められて、触れられて…
だって翔ちゃんこんなにも大人の表情をしてる。

なんだか翔ちゃんが遠くにいってしまったみたい。

「藤栄のことは―…」

その一言にあたしは固まった。

「大丈夫か?」

< 120 / 526 >

この作品をシェア

pagetop