素直の方が好きですか?



あたしはとっさに携帯を手にとって
震える手で電話をかけた。

ほぼ無意識だった。

早く、早く出て……出てよぉ……。
早く、お願い早く……。
助けてよ……。

プルルルと言う電子音だけが鳴り響く…。
そして留守電に切り替わる。

出ない…!!

なんで……なんででないの!?

「嘘…嘘よ…」

出て……出てよ。
あたしはもう壊れそうだよ。
このまま、崩れてしまいそうだよ。

怖い。怖い。
恐怖、それだけな気がした。


もう一度電話をかける。

もう一度……。
そして、もう一度。

なんで、どうして出てくれないの?
助けてよぉっ……

恐怖という名の波に飲まれてしまいそうなのに。

それでも翔ちゃんが電話に出ることは無かった。

あたしはそのまま寝てしまった。

あたしは…夢を見た。

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