素直の方が好きですか?


あたしは、立っていたんだ。
ただ、意味もなく……
暗闇の中、独りぼっちで…

寂しいとは、感じない。
なんでだろう……?

その時、ゴォォという音を立てながら何かが雪崩れてきた。

何!?

近づくにつれ伝わる恐怖。
寂しい、寂しいよ。

飲まれるっ!

そう思った瞬間。

そこに光が指して、
誰か愛しい人がたっていた。
誰かわからないのに、愛しいなんて可笑しな話だけど確かにそう感じたんだ。

ダレ?

光のせいでその人の姿が確認できない。

手をさしのべてくる。

「ちは、――れ―ま」

何を…言ってる?

ああ…光が…遠退いていく…。

掴まなきゃ……

そう思うのに手は空を切るだけ。

嫌だ…嫌だ。
この暗闇に独りにしないで。

あたしを置いていかないで…。

そしてやがて元の暗闇に戻った。

しかし、それだけじゃなかった。
暗闇は更に暗くなり孤独の色が強くなる。

雪崩も徐々に距離を縮める。

イヤ…イヤ……

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