素直の方が好きですか?


「智葉……」

あたしたちはその後、抱き合ったまま寝た。
勿論、ただ“寝た”だけ。

翔ちゃんは優しいからきっと手は出さないんだと思う。
出せないのかもしれないけど…。


「ん…」

朝、起きるとそこにはもう翔ちゃんはいなかった。
帰ったんだ。
当たり前、か。

あたしは取りあえず葉月に声をかけ、朝ごはんの用意をしにキッチンへと向かった。

「…はよ」

「朝から不機嫌そうな顔してますね」

「うっせぇな、こういう顔なんだよ」

あらまぁ葉月ったらこわーい(棒読み)

なんて言ったら怒られるんだろうな。

「翔兄よかったよな」

「へー?」

「念願叶って、智葉の彼氏。
まぁ何でコレがいいのかわからないけどな」
「コレって何よ!」

「事実だろ」

た、確かにそうだけど…

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