素直の方が好きですか?
「はい、プリント」
爽やかうざい笑顔を向けるな。
「どーも……」
カリカリとシャーペンの走る音だけが聞こえる。
「なぁ智葉」
「……」
「聞いてる?」
「……」
「ま、いいや。
葉月かっこよくなったよなー」
「……邪魔すんな!!」
なんなのこの数学教師は!
いい加減にしたらどうなのよ!
解けと言った本人が邪魔してんじゃないわよ!
「…はい」
弱っ!よっわぁ!!よっっっわぁぁ!!!
それからまたシャーペンの走る音だけになった。
10分経過。
大分埋まってきたけど
なにこの枚数…終わるわけないじゃない
「ちーはっ」
「ん?」
上を向いたとき
あたしと、翔ちゃんの、
唇が重なった。
不意打ち。こんなんばっかりじゃないの。
「な!ばばば、ばば馬鹿!!」
「智葉、顔真っ赤」
そう言ってクスクス笑う。
笑うなよ。
「翔ちゃんきらい」
「……」
「嘘だよ」