素直の方が好きですか?
Ⅶ:結局あたしは踏み出してなんかなかった
翔ちゃんにはお見通しだった
あたしたちはあの後すぐに帰った。
車の中では行きのような空気はなく
気まずい沈黙だけが流れていった。
なんであたしは翔ちゃんを好きになれないの?
好きな人
で思い浮かぶのは決まってあの人。
「あ、メール…」
おとからだ。
《話し合い(?)
明日でいいかな?》
明日か…
早い方が…いいんだよね?
『いいよ』
そう一言だけ返し、そのまま二階へ行き
ベッドに倒れ込んだ。
気づいたら涙が頬を伝っていた。
あたし…翔ちゃんのこと傷つけた…
いや、傷つけてたんだ。
あたしがキスしたら、心がえぐられるように痛んだのかな?
それとも嬉しかったのかな?
あたしには…まだわかんないよ――…。
あたしは結局、子供なんだ。
自分のことでいっぱいいっぱいの、ただの。