素直の方が好きですか?


「智葉!!」

携帯を拾おうとしたあたしをおとが抑えた。

「や……嫌だ!嫌だ!!
怖い……怖いぉ!!」

「智葉!」

「嫌……嫌……嫌……。
誰か……助けてぇ―…。
想、想……」

あたしはその場で泣き崩れた。

怖いよ
怖い……。

あたし、目の前に闇しか見えないよ
孤独の――…

お願い、引っ張って……
あたしを助けて……

ねぇ、早く来てよ……。

想の馬鹿。

「智葉…」

泣き崩れるあたしを見たおとは
ともに電話をかけた。

「………あ、もしもしとも?
どうかしたの?――うん――――え!?
うん――うん――わかった。
じゃあね」

電話を切ったおとの表情はいつになく辛そうだった。

「……智葉、落ち着いて聞いてね?」

< 257 / 526 >

この作品をシェア

pagetop