素直の方が好きですか?


「きっと智葉には捨てるのもどちらも、できないだろうから俺が智葉を捨てるよ」

え……?

あたしは、耳を疑った。

「そもそも俺たちはこんな風に付き合ったところでどうこうなるようなものじゃない。
イトコそれもあるけど
先生と生徒、
それから年の差も考えるとこれがいいと思う」

翔ちゃんはベンチから立ち上がり二、三歩進んだ。

翔ちゃんの顔は見えない。

「あーぁ、俺も早く結婚相手見つけねーと」

――ズキン

これは…何?
ああ…傷つけてしまったことに対してなんだね?

もう恋愛感情で彼を見ることができないのならこの選択は正しいのかもしれない。

何が間違ってて、何が正しいのかわからない。
でも…あたしはもうどう足掻いてもこれ以上翔ちゃんを傷つける他ならない。


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