素直の方が好きですか?

欠落した過去―とも



毎日毎日、教室に来て、
『藤栄君!』
って呼んでた。
大抵想は、女子と男子の輪の中心。

だから呼ぶと言うより叫ぶのほうが正しいのかもしれない。

『今日こそは一緒に帰ろうよ!』

『あ?だりぃな』

『そんなっ
ねぇ待って!そんなこと言わないで…』

ついに茜は泣き出した。
流石に想もヤバいと思ったのか

『わりぃ…』

そういって茜を抱き寄せた。
その瞬間、茜がニヤリと本の一瞬表情が変わったように見えた。

他に見てたやつらに言ってみたけど
気のせいだろ、角度のせいじゃないのか
とかそんな回答ばかり。

今考えればニヤリとしたのかもしれない。
いや、絶対してたに決まってる。
何たってアイツは末吉茜だからな。

そしてその日、二人は一緒に帰った。

それからだった。
二人の関係が変わったのは。


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