素直の方が好きですか?


そして想は茜と付き合い続けた。

茜も妙だった。
想を思い通りにできるなら女遊び止めさせるとか
自分に尽くさせるとか
できるはずなのに。

ただひとつしか想に命じていない

“自分の彼氏になって傍にいること”

これだけ聞くと、なんて優しい子なんだろう。

実際していることは
ただの束縛。
愛があるかもわからない。
ただ縛り付けるだけ…。
旗から見たら問題ないようで内側は……。


『想…』

もうあれから数ヶ月
季節は完全な冬になった。
想はもう身も心もボロボロだった。

『とも、お前は気にすんな』

『……でもな』

『想ちゃん、ともちゃん!』

『茜』

『ね、想ちゃん、今日は三人で帰ろうよ』

今日はって…週三回の割合で三人で帰ってんじゃねーか。

『あ~…うん…いいよな?』

おいおい…いいよなも何もないだろう…。

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