素直の方が好きですか?




「こんにちは…
末吉茜です」

ベッドに横たわり静かに目を閉じている人に声をかけた。

「今日は…少しお話をしに来ました。」

聞こえてますか?

私、あなたの娘さんに助けてもらっちゃってるの。
あの子が勝手にね。

「私、朝倉家に迷惑をかけるつもりはいっさいありません。
でも…智葉ちゃん見てると…
入りたくなるんです。

もし…よかったら…私を…受け入れてくれると嬉しいです。
いきなりごめんなさい…
それじゃあ…」

そう言ってドアを閉めた。

―朝倉美代香
そう書いてあるネームプレートを見つめた。
そして

「美代香さん…」

と呟いて自分の病室に戻った。


妹が傍にいた。
何か話しかけてきてるみたい。

だけど私の頭の中は
あの眠った顔と、朝倉美代香と書かれたネームプレートしかなかった。

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