素直の方が好きですか?
「お父さん!!」
「智葉!葉月!美代香は!?」
お母さんは
と言うのを忘れ、美代香と呼んでいるあたりよほど余裕がないんだろう。
「まだ…平気…だけど…」
今夜が山場…。
「とにかく病室に行こう」
「うん…」
あたしたちは急いで病室に戻った。
相変わらずお母さんはさっきのままだ。
「美代香…」
辛そうにお母さんの傍に駆け寄るお父さんをあたしたちは黙って見つめた。
「美代香、美代香…まだ早いんじゃないか?
ほら…葉月だってまだ高校生になってないし…。
智葉だって…」
お父さんの声は涙声になっていた。
「…なぁ、そうだろう?
二人の成長はまだ終わってないんだ…。
こんなところで眠ってる暇はないだろう?」
どんなにあたしたちが涙を流しても…
どんなにあたしたちが声をかけても…
お母さんが再び目を覚ますことはもうなかった。