素直の方が好きですか?
「母さん、人生は一度きりだ。」
「でも……」
「想、二年待ってやる。ただし条件付きでだ」
物わかりのいい父親で助かった。
「かならず、毎年夏休みと年末年始、最低二回は新居にこい。
それと、二年待っても例の彼女が現れないようならあきらめて帰ってくること!きっちり二年だ。二年後の四月だ」
タイムリミットってか?
まぁ、とにかく許してもらえたんだ。素直に喜ぼう。
「父さん、母さん、ありがとう」
「見ないうちに想も大人になったのね」
逞しくなって、そう母さんはしみじみと言った。
これから俺は両親たくさん迷惑をかけるだろう。
だけど、肉親と一緒に暮らす理想よりも、智葉を待つ、未来を信じたいんだ。
「あ、あと想!彼女とうまく言ったらちゃんと連れてくるのよ?すぐ!」
「ああ、わかってるよ」
ありがとう、ありがとう。
俺は色んな人に支えられた。
お礼なんて言っても言い足りないくらい。