素直の方が好きですか?
「智葉」
俺は荷物の中から例のモノを取り出した。
持ってきてて良かった。
「何?」
「智葉にそのつもりがあってココに戻ってきたのなら……」
俺たちらしく、婚約しようじゃないか。
「俺と、結婚してください」
ムードも何もないけれど、こっちの方が俺と智葉らしいだろ?
「……あ、」
「……無理強いはしないよ」
「あたしなんかでよかったら貰ってください!!」
「智葉……」
パラパラと周りから疎ら(まばら)な拍手がおこる
その音に初めて周りを見渡した。
こんなに傍観者がいたのか!
すっげぇ恥ずかしいじゃねぇかよ!
「藤栄想」
「はい?」
「あたしを藤栄智葉にしてくれますか?」
「勿論ですよ」
俺たちは手を取り合い茜の元へ行った。