素直の方が好きですか?


「茜ちゃん」

「おめでとう智葉ちゃん」

ニッコリ微笑む茜を見て、智葉がどれだけ苦労したか理解した。

「茜……」

「想ちゃん。今までありがとう」

「茜?」

「私、すごく迷惑かけたのに……想ちゃんはやっぱり優しい。
だから智葉ちゃんも安心だね」

「そ、そんな!」

真っ赤になって照れる智葉。
やっぱり何年経っても智葉は智葉のままか。

いや、それでいいんだ。
それがいいんだ。


「ところで想。あんな大荷物持ってどこいくつもりだったの?」

俺は智葉に二年前の両親の引越しまで遡(さかのぼ)って話した。

「そんなことがあったんだ」

「そう、なぁ智葉
両親と約束したから一緒に来てくれるか?」

「当たり前でしょう」

「よかった」

俺たちは再び手を取り、固く握りしめ茜に別れを告げ、改札まで向かった。

< 511 / 526 >

この作品をシェア

pagetop