素直の方が好きですか?
「茜ちゃん」
「おめでとう智葉ちゃん」
ニッコリ微笑む茜を見て、智葉がどれだけ苦労したか理解した。
「茜……」
「想ちゃん。今までありがとう」
「茜?」
「私、すごく迷惑かけたのに……想ちゃんはやっぱり優しい。
だから智葉ちゃんも安心だね」
「そ、そんな!」
真っ赤になって照れる智葉。
やっぱり何年経っても智葉は智葉のままか。
いや、それでいいんだ。
それがいいんだ。
「ところで想。あんな大荷物持ってどこいくつもりだったの?」
俺は智葉に二年前の両親の引越しまで遡(さかのぼ)って話した。
「そんなことがあったんだ」
「そう、なぁ智葉
両親と約束したから一緒に来てくれるか?」
「当たり前でしょう」
「よかった」
俺たちは再び手を取り、固く握りしめ茜に別れを告げ、改札まで向かった。