素直の方が好きですか?
「ならいい!」
「ああ」
これから俺は智葉に聞きたいことがたくさんあるんだ。
あの智葉が突然消えたあの日からの空白の七年間を、知りたいんだ。
ちゃんと、解っておきたいんだ。
智葉もそう思っているだろう。
「想とあたしはたくさん話さなくちゃね」
笑顔で智葉はそう言った。
その通りだ。
俺たちはたくさん話さなくちゃ。
「なぁ、智葉……」
「話はあとで、ゆっくり。ね?」
今は、二人きりを楽しもう?
俺にはそう聞こえた。
わかったよ。久しぶりに会ったんだ。
何も話さなくても、ただ一緒にいよう。
「想の家はどのへん?」
「次の駅で降りるよ」
「あ、そっちの方なんだ。」
降りる駅が近づく。
強ばる智葉の体。
「そんな緊張すんな」
智葉は安心したように笑顔を浮かべ、手を握った。
「大丈夫」
本当に大丈夫な気がした。