素直の方が好きですか?


「あたしは、高2の終わりごろに母が死にました」

智葉は、堂々と話していた。

「父は単身赴任していて、病院の近くに住む必要性がなくなってしまったので、あたしと弟は父のもとに、引っ越すことになりました」

「そんなの親が単身赴任とか家と大差ないじゃない?」

いつの間にかリビングにいた母さんが当たり前のように言う。

「母さ「美月は黙っててくれないか」

父さんがけっして強い口調で言ったわけではないが、重みのある声で母さんを制した。

父さんが母さんを俺の前で名前で呼ぶなんてよっぽどだ。

そのため母さんは大人しく黙った。

「悪かったね、続けてくれないか」

「はい。
あたしは、ある女の子と仲良くなりました。でもその子は色々事情を抱えていて……
それと闘うために彼女も一緒に連れていきました」

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