それでも好きだった











乱した呼吸を落ち着かせている。


どうやら走ってきたようだ。



何をそんなに急いでいたんだろうか。



それより、電車に乗り遅れてしまった。


頭の中で冷静に考えていた。






「あ…あぶねぇ」


そう言って岡田君は汗を袖で拭いていた。


片方の手はまだ私の腕を掴んでいた。




心臓がうるさい。


彼に聞こえそうだ。






「…あの腕」


ドキドキしている所為かうまくしゃべれない。


でも伝わったらしく、彼は急いで掴んでいた手を離した。





二人の間に沈黙が続く。




彼の行動は一体なんだ?


いきなり腕を掴んできたと思ったら何も言わないし、よくわからない。













< 106 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop