それでも好きだった










いつの間にか電車がホームに着いていた。





私は顔を上げ、彼に言った。



「そ…だね。じゃあ…電車来たから帰る」



私は逃げるように電車の中に入った。


同時に窓が閉まり、電車が発車した。








ちゃんと笑えただろうか。






私は崩れるように座り込む。


我慢していた涙が自然と出てくる。












こんな想いをするのなら、恋なんてしなかったらよかった。


こんなに辛いなら、人を好きになんかならなきゃよかった。




どうして親友の彼氏を好きになってしまったんだろう。


どう足掻いたって、振り向いてもらえないのに、どうして好きになってしまったんだろう。





“後悔”なんてとっくにしてた。






「もう…嫌だ」



私はその日、家に帰ってからも泣いた。
















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